ジャズはコーヒーを美味しくするのか

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メジャーないくつかのお店を除けば、ジャズを聴かせてくれるお店の半分くらいは居酒屋の間口横の賄い扉みたいなところから入ったり、生ゴミのビニール袋や空き瓶や錆びたバイクの横をすり抜けて入るようなところが多いように思うのですが、それは僕だけの偏見かもしれないとも思っていました。

ところがこの仙台のお店は居酒屋横の賄い通路という点が一致していましたので少々ほっとしました。

扉を開ける前から僕が好きなブッカー・リトル(トランペット吹く人ね)の流麗で粋だけどちょっと素行の悪そうな音が聴こえてきました。

空腹と疲労と恐るべき寒さに耐えかねて、このお店に辿り着いたのですが、店に食べ物は一切無いという潔さで頭が下がりました。おまけに僕はお酒が飲めないので、空腹にコーヒー。これはかなり辛いです。

アルテックの劇場用スピーカー(左チャンネル)の至近距離40cmで聴くベースとドラムの音。こんなリズムセクションがあれば僕でもカッコいいトランペットが吹けるのではないかと錯覚してしまうくらいの心地よさでした。ステレオなんてこのLPに関して言えば左だけでも十分だなあと思いました。もっと言えば、ベースとドラムだけでも。

それにしてもジャズ屋さんのコーヒーは美味しいです。この種の音楽の場合は特にです。何故なんでしょうか。音楽の仕業なのでしょうか。僕のコーヒー探求の課題に、音楽(ジャズ、LP、オーディオ、副流煙、密室、私語厳禁?)が与えるコーヒーの美味しさというテーマが新たに加わりました。

この店は昔風にLPを片面かけては次のアルバムに行くというスタイルです。CD一枚聴かされるよりも僕はこの方が好きです。で、次はアート・ブレイキーのインパルスのアルバム(アルバムタイトルは知りません)。リーモーガンが意外に色っぽい音で、ウェインショーターもミステリアスではない方のにょろにょろした好演。アレンジも案外よかったです。

一晩中でも音楽に浸りたいと心底思ったのですが空腹と、コーヒー一杯で居座ることが出来ないという貧乏性から冷たい風の吹く街に出ました。

コートとマフラーと手袋があって良かった。スーツは夏物だけど・・。