クリスマスの憂鬱

いつもこの時期になると同じことを言っているのですが、クリスマスの贈り物に悩みます。
今日は散歩もかねてウインドウを覗きに行きました。お金がいっぱいあればすごい物はいくらでもあります。しかし限られた予算で買うとなると難しいものです。まして女子ばかりのお店に入るのは相当な勇気がいるので、その選択肢はとても狭いものになってしまいます。
今年は喪中だからやめましたなんて道理が通用する軟弱な相手ではないので何か喜んでくれる物を考えたいと思います。

で、丸の内の辺りをふらふらしていたら美術館に迷いこみ(よく美術館に迷いこみます)、「カンディンスキー青騎士展」というのを堪能して手ぶらで帰ってきてしまいました。
カンディンスキーというとコンポジション1とかの後期の楽しい抽象画が有名で、僕はその時代の作品のファンなのですが、この展覧会はそういうのはありませんでした。むしろ若い頃の具象画とか30歳くらいから40台後半まで、抽象を模索している時代の絵が多く出品されていました。

面白かったのは30歳くらいの頃に書かれた具象画がとても美しくてユニークだったことです。すでに独特の視点と感覚が絵にはっきりと現れています。そういう違うものが見える能力というのに本人も気付いていたからこそ、その後に抽象に走ることが出来たのかなと思いました。ピカソもそういう卓越した感覚が若い頃からあったように思います。

面倒なのでいつもはあまりエピソードを丹念に読んだりしないのですが、今回は少し読みました。それによると、この人は奥さんをロシアに残したまま、同じ画家である別の女性とドイツに永い旅行をしながら抽象絵画を志す運動を推進していたことを知りました。その運動が「青騎士」という展覧会組織です。後にはこの女性をミュンヘンに残してロシアに一度は帰るのですが、またドイツに戻って一生を終えています。

そういう旅で二人が何を思って暮らしてきたのかとか、芸術の同志としての彼女との生活がどうであったのかとか、ロシア革命後に一人国に戻ったときに何があったのだろうとか、そのロシアから戻ってからの素晴らしい作品群がどうして生まれたのだろうとか、芸術とは関係ないことに想像を巡らしてしまいました。