麗子と再会

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子に会ってきました。何年ぶりだろう。この前は上野でしたね。まだ幼い君だったけど、世界の全てを包み込むようなその笑顔が忘れられませんでした。僕はもう十分に大人だったけど、それでも君の方がはるかに世の中を分かっているように感じたものです。

君のお父さんはたいそう変わった人でした。裕福な商家に生まれ、好きな芸術の道にまっしぐら。京都時代はお茶屋遊びもしたそうです。出入りの画商から掛け軸を買い込んでは悦にいっていました。そのために借金をいっぱい作りました。美しい君の母を娶って君たち兄妹を授かり、日本の油絵の探求者として短い人生を終えました。

君は僕に視線を向けてくれたことは一度もありませんね。写真を撮るなら君の瞳がこちらを向いていないと売り物にはならない。でも、どんな時でも僕以外の遠くの何かを眺めていたように僕は記憶しています。僕が君に感じる気持ちはとても曖昧でした。僕が君に惹かれているのか、美しいと思っているのか、それとも畏怖を感じているのかすら分からなかった。


はい、日曜日に大阪市立美術館で開催されている岸田劉生展を見てきました。麗子ちゃんがいっぱいでした。ちょうど大阪マラソン開催の日だったせいか、小雨が降り始めていたせいか、何をいまさら岸田劉生というわけか、理由は不明ですが、空いていました。たまにはこういうのも楽しいです。