再会

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学生の頃の友人が市民コンサートに出ると言う知らせが届いた。僕は卒業以来同窓会には一度も出た事が無く、残念ながらプライベートな遭遇も無かったので久しくどの友人とも会っていなかったので今までなら無視していただろう。

今回のコンサート案内をもらった時、どういう心境の変化なのか昔の友人に会ってみたくなった。多分、会社を退職して個人事務所を始めて二年、ちょっと人寂しくなってきたのだと思う。同じ教室の仲間も数人来るらしいので無理してでも行ってみたくなった。

場所は彼が暮らす千葉近郊の街の公会堂。千葉で普通列車に乗り換え少し走ると車窓から草の香りがしてうれしかった。公会堂はその駅から少し遠かったけど、小さな駅に相応しく、真面目な人たちが丁寧に暮らしていそうな住宅街を歩いた。

会場には僕が一番乗り。開場時間に建物に入るとタキシード姿のその友人が迎えに出て来てくれた。彼は髪の毛は学生の頃とは違って白くなっていたものの、長身とその人となりは昔のままだった。今日はチェロとリコーダーの演奏をするらしい。

一瞬にして縮まる長い年月。何も変わっていない。この間のとてつもなく永い時間はいったい何だったんだろうと思う。

堅いパイプ椅子に座ってビュルガーとかマスカーニとかの元来苦手なクラシック音楽を聴くという僕にとってはかなり過酷なシチュエーションだったのだけれど、それでもそれなりに楽しめた。

中休みには同窓の友人二人にも会う事が出来た。プチ同窓会という様相だ。一人は学生の頃僕のアパートの近くに住んでいた女性で今は大学の先生の奥さん。もう一人は何故か仲間に加わっていた別の科の友人で自宅は埼玉だそうだ。話は尽きないはずなのに、少なくとも僕は少ない言葉しか口に出来なかった。

結局、僕の都合で幕間の20分くらいの間に互いの近況を話しただけで、彼らを残して会場を去らなければならなかった。

仕事が忙しかったのは事実だが、一方で「感傷的な再会なんて気恥ずかしいや」という子供っぽい気持ちがあったのだけど、また皆に会いたいと素直に思った。僕も少し大人になったのかもしれない。

そう言えば松尾和子の「再会」っていう大昔の歌を、たまたまカラオケに一緒に行った若い女性が唄ってそのギャップに驚いた事があったっけ。