Pとの出会い

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昼間は薄手のコートでも着ていたら汗ばむくらいのこの日。仕事も一段落して夕方になると遊び心が目覚め出した。何の当てがある訳でもないのだが、気持ちがささくれないような音楽でも聴ければと思った。

癒しのための音楽はそれなりの儀式と演出が必要で、それにはLPレコードが相応しいと僕は思っている。ジャケットがアート心に灯を点け、ライナーノーツが深みを装わせてくれて、少々の気遣いが必要な儀式で心を清め、アンプの温もりを感じ、そのあげくに音楽が流れる。そのアソート感がレコードの有難さであり馬鹿ばかしさなのだが、そんな勝手な思い込みを理由に中古レコードの餌箱でも漁ろうかと思った。

お決まりのコースはお茶の水駅から始まる。駅前のディスクユニオンやJAZZユニオンまではよかったのだが、その後に楽器屋で足踏みしてしまったり、書店でグラフ雑誌や写真集を立ち読みしたり、コーヒーが飲みたくなったりと、結果としてはただの散歩になってしまった。

すずらん通りにたどり着いた頃に友人から電話がかかってきて、話をしながら路地を歩いた。どう歩いたのかは覚えていないのだが、救世軍の辺りでしびれた指で電話を切った矢先、そこで奴に出くわした。
そこに居るはずは無いのにと思ったが、声をかけるでもなく、かけられもしなかった。でも間違えなくその時そこで出会い、見つめ合った。

神保町でペンギンを見たと言っても誰も信じてくれないだろう。だから、その証として写真を残しておこうと思う。