ドラマ「認知症探偵X」
〜〜 月刊テレビジョンマガジン9月号より転載 ~~
★
主役は65歳を超えてから少しずつ自分の記憶力が低下していることに気づき不安を感じる年金暮らしの男。
妻とは10年前に円満に別れ今は一人。もう勤め人ではないのでシャツとデニムにウォーキングシューズと気軽な服装。今時のおっさんらしくネットだとかメールなどは使いこなせるが本当はそういうのは好きではないらしい。
妻とは10年前に円満に別れ今は一人。もう勤め人ではないのでシャツとデニムにウォーキングシューズと気軽な服装。今時のおっさんらしくネットだとかメールなどは使いこなせるが本当はそういうのは好きではないらしい。
勤め人の頃はそれなりの人だったように感じるのだが本人はそれを語らない。老眼を言い訳に本や新聞はあまり読んでいないようだが、話をしてみるとそれなりの教養があるし程々には今の時代が分かっているようにも思える。
★★
彼の能力の何が問題かって言うと……、特に深刻なトラブルは無い。
でも、降りる駅を間違えたり、約束の日を覚えていなかったり、大きな駐車場に止めた自分の車が見つけられなかったり、人の名前を忘れたり、買い物リストの半分しか覚えていなかったりと第三者の眼があればきっと笑われるような毎日。おそらく自分の馬鹿さ加減に呆れ将来に不安を感じているいると言うのが本当のところだろう。
★★★
いつも通うコーヒー屋の店主から見ると「暇そうだがまだまだ元気なおっさん」。コーヒーにトーストの朝食をとったら直ぐに帰ってくれるし、話しかけられば相応に対応もする。控えめながらも自分の感じたことは話をしたりもするのでお店にとっては好ましい客の部類に入るのだろう。
★★★★
彼に探偵としての高い資質があるとは決して思えない。
むしろ人として徐々に能力の欠落が始まっているのだからそれは断じて無い。絶対に。しかしそんな彼が何故か難題や事件を解決してしまうのが不思議なのだ。
彼の持って生まれたぼんやりとした性格に認知能力の低下というか特に記憶力の低下が加わって、周りの人間が心配したり面白がったりして必要以上に豊富な情報を与えてしまうからなのだろう。その雑多な情報の断片が上手く重なって重要なヒントとなる。そういうことなのだろうと思う。言わばボケまくる探偵が台風の眼となり、その情報が希薄なところに周りから情報の風が吹き込むという構造なのだ。
★★★★★
音楽は好きなようで、今日はTill BronnerとDieter Ilgの「NIGHT FALL」が彼の部屋から聴こえる。確か昨日はRobert Glasperだったな。
映画に出てくる探偵のようなカッコよさはカケラも無い。
可愛い愛猫も犬もいない。魅力と言えるビジュアルは一切ないのだ。愛車は義理の父から譲り受けた無駄にでかいセダンだが、数多ある車種の中で最も醜い部類のデザイン。しかも車庫入れが下手で四隅が凹んでいるのだ。
はなはだ頼りないようだが、そこはドラマ。理系でキュートな姪っ子が彼の右腕として登場。彼の謎解きを支援!してくれるのだ。
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どうだ!
こんなドラマ見て見たいです。
全部嘘です。すみません。番組表を探さないで!